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衝動のままに小話
私は本当に独白以外書けないなぁと自分で自分の力量にがっかり
ていうか退化している気がするショボンぬ
あと一週間お願いだから楽しんでください

床に女が横たわっていた。
部屋の四方の壁にはびっしりと仮面がかけられている。
どこかの貴族が舞踏会で着けていそうな豪奢なものから、未完成の白地のものまで様々である。
部屋に広がる顔の群れは、不気味と感じる人と滑稽だと感じる人が同率だろう。
壁を覆いつくす無数の顔に空けられた穴が彼女を見つめている。
真っ赤な床に女の絹糸のような金髪が広がっており、そのコントラストは目に眩しかった。
沢山の石膏や木屑、絵の具の固まりかけた絵筆などがまるで儀式に使うアイテムのように彼女の周りに無造作に落ちていた。
女は糸の切れたマリオネットのように力なく、手足をばらばらな方に折り曲げ、眠っていた。

日暮れ時、仮面職人見習いのエースが渋い顔をしてコバルト家を訪問した。
息子同然にコバルト家に居座るアオサは彼の訪問を快く受け入れた。
犬の腹を撫でていたヴェイタは、仮面作りに飽きて暇を潰しに来たのだろうと思いそのまま追い返そうとした。
妻のリタからは、いつもエースが逃げてきたら首根っこ引っつかんで連れて来いといわれている。
しかし、エースの言うことには「アネさんが倒れたから迎えにいってほしい。」とのことだった。
血相を抱えてヴェイタは家を飛び出し、仮面工房に走っていった。
しかし、ヴェイタが息を切らせて工房に入っていったとき、目に飛び込んできたのは、仮面の積み重なった汚らしい部屋の中でくうくうと眠る妻の姿だった。

「ごめんねぇヴェイタ君。リタちゃん納品終わったらばったり寝ちゃってねぇ。」
「いや・・・すんません親方。面倒かけさせちまって。」
仮面工房の親方は、絵本に登場する魔人のような巨体と凶悪な顔をしている。内面は虫も殺せない穏やかな人なのだが。
『倒れた』そう聞いてヴェイタは何か事故や病気を想像した。しかしなんてことはない。
単にここ数日の睡眠不足がたたって、緊張の糸が切れたと同時に深い眠りに落ちてしまっただけだった。
最近はずっと鬼のような形相で走り回っていたが、眠るその顔は久々に見る穏やかな笑顔だった。
「起こすのも可哀想だからヴェイタ君連れて帰ってくれるかい?荷物はそのままでも構わないから。」
「・・・すんません。」
「気にしないどくれよ、しっかり寝かせてやんなさい。」
「あぁ。・・・リタ、帰るぞ」
声をかけても全く反応は返ってこない。もともと眠りは深いほうだと思っていたが、まさに死んだように眠っている。
背負うと、甘ったるいような黴臭いような絵の具の臭いと、ほのかに彼女自身の汗の臭いが鼻をくすぐった。
肩にかかる金色の髪も、いつもよりも艶をなくしている。身なりに気を使う間もなく奔走しているのだから仕方ない。
心なしか体に掛かる重みもいつもより軽く感じられた。
それでも食事や家事などに普段との違いを見せないのはリタのプライドと愛情なのかもしれない。
「なァ・・・親方。」
「なんだい?ヴェイタ君。」
「いや、なんでこいつ、こんなになるまで頑張っちまうんだろうな。」
「何かおかしいかなぁ。」
「いや、祭りが楽しいのは解るけどよ。毎日朝日が昇るくらいまで服縫って、仮面作って、家事やって、おまけに他にも色々仕事抱えてんだろ?歌ったり踊ったりもしてるみてぇだし。・・・なんでそんな寝るの忘れてぶっ倒れちまうくれぇに頑張ってんだろうな。」
親方はにっこり笑った。ただでさえ三白眼の小さい目は、肉に埋まり殆ど線のようになる。
「それは仕方ないよ。この町の人にとって、リタちゃんにとってこれが生きるってことなんだからねぇ。」
「・・・生きるってことすか?」
「そうだよ。朝起きて、ご飯を食べて、お仕事をして、眠って。それもとっても大切で大変なことだけど、それだけじゃ生きていけないんだよ。ヴェイタ君だって、そうなんじゃないかなぁ?」
「俺も?さぁ、どうだろうなぁ。」
「ヴェイタ君は剣士だから、強い人と戦ったら嬉しいんだろう?この町の人にとったらそれがカーニバルのお祭りなんだよ。仮面をつけて、歌って、踊って、花火を見て。憎たらしい人をぶん殴って。それが、生きてるってことなんだよ。」
空気を薙ぎ、切っ先を相手の身体目掛けて突き抜け、命賭けの遣り取りをする。
強敵と向かい合い、刃を合わせる時の肌がびりびりと震えるような高揚感。
それがなくて自分は生きているといえるのだろうか、愚問だった。
リタもそれと同じなのだ。
「あぁ、そりゃ確かに違ぇねぇな。」
そう言ってヴェイタは白い歯を見せて笑った。
「ヴェイタ君はとってもいい子だね。」
親方のグローブのような分厚い手がヴェイタの頭を撫でる。ヴェイタはガキじゃねぇんだからと呆れながら言い、二人は声を合わせて笑った。

トルナーレの町には星が瞬いていた。
白壁の町は夜でも街灯の光が反射して明るく、祭り用のランタンがそこら中に掛かっていた。
「もうすぐ、祭りの始まりだなぁ。」
ヴェイタがそう呟くと、背中でもぞりと動く感覚がした。
「おやかたぁ…。もうちょっとだけ寝かしとくれよぅ…。」
ヴェイタはぷっと吹き出した。
きっと目を覚ましたら顔を真っ赤にして大騒ぎするだろう。見栄っ張りなリタは、愛しい旦那様に疲れてぶっ倒れた汗臭い姿など見せたくないに決まっている。
それすらも喜ばしいことのように感じながら、ヴェイタは犬と息子のようなものの待つ家へ足を速めていった。
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