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こちらはオリキャラRPGに関する特設ページです
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話と絵は何の関係もありません
ただの思いつきですね
ジズは欲張りだ。犬にない全てを持っていても今度は犬の存在にすら嫉妬する
いっそバグとかで一緒に使えるようになればいいのにね


そしてキャンペーンの空気読まずに贈り物とは関係のない小話です
なんかすげぇうじうじしてます。うじむし野郎でごめんなさい
叔父と甥が酒を飲むだけの話パート2。今度はジズじゃなくて犬です
ちなみにジズはこれ。アイスバッハ 
レオさんとヒルト様お借りいたしました
あと当然のことながらあの女あの女うるさいです
犬の目は「ググってはいけない」系の気持ち悪さなんだよ
蓮コラとかベクシンスキーとかそういうの
それは心身の強さとかとは別の領域であると思っています
当初の予定とは随分違うものになっておりますがまぁ気にしない
多分第一考は去年の夏くらいから考えてました(笑
1月になったらジズの話と一緒に本家に投下してこようと思います
なんかオチがオチてないので出来たら続きを書きたいです

aquavit

黒。
眼前に広がるのはどこまでも底の見えない深い黒。
船が動くにつれて軌跡が海面にゆらりと表れるがそれも直ぐに黒に飲み込まれる。
微々たる星明かりが見えるだけの空と先の見えない真っ黒な海の上に浮かぶ一隻の船は頼りない。
それでもこの船の進む道に不安や恐れは感じない。
船はただ道無き道を進んでいく。
弦楽器の音色とときどき起きる馬鹿騒ぎの声が甲板まで響いてくる。
食堂室での夕食の時間は、気付けば終わらない宴へと変わっていた。
毎夜毎夜ああも騒いでよく飽きないものだ。
狂犬は暗い海を眺めながらそう考えた。
船は静かに追い風を受けて南方へと向かっていた。
乗客の殆どは、アルナから運河を通ってアドニアに向かうが、狂犬はそちらは行かず、東へと向かうつもりだった。
仕事に一段落が着き、インテグラで本を借りた。
久しぶりに酸味の強いパイも食べたくなった。
帰る家も戻る故郷もないが、立ち寄る場所くらいあっても構わないだろう。
この船に乗って初めて知ったが夜の海は悪くない。
狂った犬の目も裂けた犬の口もあの黒に溶ければ何も見えなくなる。

船室からがしゃんと何かの割れる音が響いた。
悪ふざけをし過ぎた奴が皿でも割ったのだろうか。
狂犬はこの船は悪くないと感じていたが、宴に駆り出されるのだけは頑なに拒否し続けた。
酒はただの苦味のある液体にしか感じられないし気分も悪くなる。
歌を聞くのは悪くないが40人を越す男達の紡ぎあげる歌声を音楽と呼ぶのは音楽への冒涜だろう。
そして何より、人前でマスクを外さなければならないというのは出来るならば避けたいことであった。
狂犬にとっては人の前で食事をする事、犬のような耳まで裂けた口を人に見られる事は何よりの苦痛なのだ。

「おーい、そこにいるの誰だー?」
背後からの声に振り向くと、カンテラの灯りに瞳が反射して光るのが解った。
それはまるで獣のように。
声をかけた男は一瞬たじろいだが、狂犬の姿を確認すると安堵の息をついた。
「なんだよリカーじゃん。驚かせんなよ。」
リカーというのはこの船の人間が狂犬に対して使う名だった。
「好きに名前を呼べ。」そう言うと、船の持ち主は「リカントゥロープ」と呼ぶようになり、乗組員もそれに習ってリカーと呼ぶようになった。
彼の国では狼男を指し示す言葉らしい。
よく見慣れた顔の男がそこにいた。
海と同じ色をした頭髪とどこか狐を思わせる顔立ち。
手には布のかかった盆のようなものを持っている。
この船の出納係をしている男、レオンだった。
「あんたが勝手に驚いた。何の用だ?」
「オレ?オレはキャプテンのお使い。仲間外れがいると盛り下がるから全員引っ張ってこいだってさ。つーことであんたも来てくれよ。一緒に飲もうぜー?」
「俺はいい。」
狂犬の言葉にレオンは少しだけ眉の端を持ち上げるがすぐに表情を元に戻す。
「んだよノリ悪いなー。ま、無理には誘わないけどよ。来たくなったらいつでも来いよ。」
「全員呼んで来いと言われたんじゃなかったのか?」
「呼ぶのは仕事だけど連れて来いとは言われてねぇの。お前ああいうとこ苦手そうだしな。」
そう言うと、レオンは狂犬の前に盆を突き出した。
布を払うと、木製の盆の上には、魚の焼き物と簡単な野菜の煮込み料理、それから水の入ったボトルが乗っている。
「何のつもりだ?」
「どうせ来ないと思ったから持ってきた。まぁお前の好物なんて知らねーけど。」
狂犬が人目のあるところで食事を取らないことを見越して持ってきたのだろう。
呼びに行けというのは名目で実際の目的はこれだったのかもしれない。
「悪いな。」
「礼ならゲルトでお願いしまーす。」
レオンは手をひらひらさせると踵を返した。
潮風で軽く冷えた掌に、その熱はじんわりと伝わって温かかった。

マスクを下ろし、魚料理と野菜の煮物を口に運ぶ。
狂犬にとって食事は味わうものではない。腹を満たすためのものだ。
料理番が新鮮な食材の無い船上でいかに客に喜んでもらうかを苦心して作った料理は無感動に一定のリズムで咀嚼され、彼の腹に収められていく。
ボトルを乱暴に呷ると口の裂け目から水が零れ出した。
汚らしい。それはいつものことではあるのだが。

「おーう。こんなところにいやがったのかぁ!!」
まるで獣の咆哮のような力強い男の声、そして重量感のある足音が背後から響いてきた。
足音に合わせて船も軋みながら揺れている気がする。
狂犬は急いで自身の裂けた口を隠すように鼻先までマスクを引き上げる。
「よぅ。こんなところで一人酒かぁ?」
「あんたか。」
褐色の肌をした中年の男だった。
その肌に対照的な銀色の頭髪と、立派な髭を蓄えている。
足音に相応しい堂々とした体躯は狂犬と並んでもそう差異がないだろう。
顔には彼が戦場をかける戦士であることを思わせる十字の傷。
名はヒルト・リ・アドニア、ウィンクルムの南に名を馳せるアドニア国の王である。
そして、狂犬にとってはあまり顔を会わせたくない男だった。
ヒルトは了承も得ぬまま、狂犬の横にどっかりと腰を降ろした。
一体どのくらい飲んだのだろう。
むわりと漂う強いアルコールの臭いにむせ返りそうになる。
この男に限っては、それが宴のせいではなく、彼自身の酒癖のせいではあるのだが。
「酷い臭いだな。」
「そうかぁ??俺にはこんな良い香り他にはねぇと思うけどよ。」
「何故ここに座った。」
「気にすんなよ。アレだよアレ。」
「理由になっていない。」
「まぁいいじゃねえか。んじゃアレだ。海が見たくなった、とかそういうことにしとこうぜ。」
ヒルトはそう言うと高らかに声を上げて笑う。
狂犬は隣で居心地の悪さを感じ、少し彼との間に距離を開ける。
表立って告げたことはないが、アドニアは狂犬にとっては祖国であり、ヒルトはその王である。
そして、彼らは血縁こそはないが、叔父と甥の関係になる。
全てを棄てて国を出た狂犬ではあったが、それでも全てに無関心でいられることは出来なかった。
ヒルトを見るたびに自分の生まれを、過去を、そして忘れたい人間を思い出してしまう。
この傍らで国と名誉のために生きる人生もあったのだろうか。
それは狂犬にとって眩しすぎる仮定の話だった。

「……お前…ちっとこっち向いてみろ。」
無言で酒をあおっていたヒルトが、不意に狂犬に声をかけた。
「どうした。」
「いいから向けって、なあオイ。」
ヒルトの言葉に狂犬は表情こそ動かさないが、渋々と顔を向ける。
自分の顔を影から見つめ、指を指し煙たがる人間は多かったが、正面をきってそう言われることは多くなかった。
狂犬の顔を見つめると、ヒルトの背中にぞうと虫が這うような不快感が走った。
生理的に彼の目を身体が拒否しているのだろう。
その目には白目がなく、代わりに濁った黒が無駄に光を放つ金色の瞳を覆っている。
狂犬は自分の目を「狂った犬の目」と形容するが、彼の瞳に映るのは血を求める理性を無くした獣ではない。
例えるならば、それは暗く底の見えない穴である。
見つめていると自身を飲み込む影が這い出してきそうな、言い知れない暗澹とした気持ちを人に与える、そんな存在であった。
ヒルトはその感覚に飲み込まれないように顔を震わせた。
そして、何かを思い出すかのように、狂犬の顔に視線を当て続けた。
「用事は済んだか。」
「いやぁ、まだ。」
「醜いものを見たいという下卑た好奇心を満たしたいなら見せ物小屋にでも行ったらどうだ。俺は好奇の目を与えられるのは慣れてはいるが趣味じゃない。」
「馬鹿野郎。俺にそんな悪趣味はねぇよ。見るなら綺麗な姉ちゃんのストリップの方が何万倍もいい。お前も連れていってやろうかぁ?」
「結構だ。あんたは何故俺の顔を見るんだ。」
「いやぁ、それがよぅ。ま、馬鹿けてるとは思うんだがなぁ」
ヒルトは自身の山羊のような髭を指で梳く。
そして、不意に浮かんだ根拠の無い考え、それは実に思い付きでしかない考えをゆっくりと彼は口にした。
「お前、そっくりなんだよ。うちのアレに。」
船室から響いてくる一際大きな何かの破壊される音。
そして船主のよく通る怒鳴り声。
それは当たり前の、狂犬の意識に馴染んだ光景であった。
逆に目の前の男の口から発せられた言葉はどこか遠いところから響くようだった。
狂犬は何かを喋ろうと口を動かし、言葉の選択に戸惑い、漸く一言だけ口にした。
「言っていることの意味が解らない。」
「いやぁ、だからよ。お前の目鼻立ちっつーか何つーかがよ、うちの内務のアレによく似てるんだよ。んまぁあいつはもっと気難しい顔してっけどよ。」
ヒルトの声は先程より鮮明に狂犬の耳に刻み込まれた。
「知らないな。他人の空似だろう。」
「そうかぁ?それにしちゃ随分と似てるんだけどよ。…なんつーか、あいつの若い頃みたいな。いや、それよりは…」
「いい加減にしろ。」
ヒルトの言葉を待つ事無く、狂犬の発した重低音が空気を震わせた。
「好き勝手な事を言うのも大概にしろ。大体俺のように闘技場で飼い殺されていた奴隷風情がアドニアなんて大国の王弟と関係がある訳ないだろう。俺にはあんたの下らない思い付きを黙って聞いてやる趣味はないし付き合ってやる義理もない。」
狂犬は淡々とそう言った。
そのつもりだった。
いつもと同じように、感情を無くした狂った犬のように。
しかし、彼を知る者からすると、それは明らかに感情の高ぶりを示す声だった。
それは怒りというにはあまりに幼くて、悲しみというには不恰好すぎる痛みの声であった。
「そいつぁ…すまなかったな。」
ヒルトも狂犬の触れてはいけない何かに触れたと気付いたのだろう、それ以上言葉を向けることは無かった。
「邪魔、したな。」
ヒルトの姿が闇に飲まれたのを見届けると、狂犬はマスクを外し、ボトルに残っていた水を呷った。
口の裂け目から流れる液体を拭う気にもならなかった。
肌が冷たくなっているのは、きっと夜風のせいでも、水のせいでもない。
あの女の目に今の自分はどう映るのだろうか、そんなことを思いながら狂犬は目を閉じた。
「   」
呟いた声は波の音と乗組員の笑い声に飲み込まれて消えていった。


「…でっけぇ子供みてぇだったな。」
メインマストに背中を預け、ヒルトは空を見つめ、残りの酒を飲んでいた。
月の無い夜空に一際強く輝く一等星が見えた。
アドニアはその光が導く方角である、そう赤い布を巻いた少年の乗組員は言っていた。
狂犬とは付き合いも浅く、殆ど言葉を交わしたこともない間柄だった。
出身がアドニアであるということと、知人に顔が似ている、そんな思い付きで声をかけた。
彼は否定をし、自分はそこから立ち去った。たったそれだけである。
しかし、ヒルトは気付いていた。
自身は「内務の」としか言っていなかったのに、狂犬は確かに「王弟」と口にした。
それは、彼らの間に人には言えない何かがあることの証拠なのだろう。
単なる思い付きは、確信を持った何かに変わるのかもしれない。
「………まさかな。」
ヒルトは深く肺に溜まった空気を吐き出すと、酒を煽った。
外気に当てられすっかり温くなった蒸留酒は、惚けたような味しかしなかった



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