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それがいつ現れたのか正確なことは覚えていない。
覚えていないが裏山の地蔵の数はたしか10体になっていた。

暑い日だったことはよく覚えている。
親の目が無いところで海に潜ることは禁止されていた。
大人の男たちは皆日々の糧を得るために漁に出かけていた。
蝉が自分の命を縮めるように五月蝿く鳴き続けていた。
拭っても拭ってもあとから溢れ出す汗が衣服と下着をべったりと濡らしていた。
気持ち悪くて駄々をこねると母親に全ての衣服を剥ぎ取られ丸裸のまま土間に転がることになった。
蝉に負けじとぎゃーぎゃー喚いていたら気付いたら眠っていた。
西日がまぶしくて目を覚ますと寝汗で床びっしょりと跡が付いていた。
外に出て汲み置きしてある雨水を身体にかけると父親が帰ってきた。
手に握り締める銛は彼の身長よりもずっと大きかった。
父親は彼の頭を撫でると手からひしゃくを受け取り温い雨水を喉を鳴らして飲んだ。
喉を鳴らすたびに喉仏が上下して何故かとても面白かった。
父の表情は明るくないものだった。
漁の結果は散々だった。
火の気のない囲炉裏の周りに三人が座った。
一握りの米と痩せた魚を三人でつつきあった。
菜っ葉だか雑草だか解らない草や木の根だかゴボウだか解らないものが皿に乗っていた。
食事はすぐに終了したがそれでも腹は満たされなかった。
身をこそげ取られた魚を掴み骨をしゃぶった。
「もっと食べたい。腹いっぱい飯が食いたい。」
そう言って大きな声を上げて泣きたかった。
しかしそれをしなかったのは父を怒らせ母を悲しませることが解っていたからだ。
第一大声を出せば余計に腹が減る。
腹いっぱい物を食べた覚えなど無かった。
夏でさえそうなのだから冬はどうやって命を繋いでいたのだろう。
今となっては思い出すことが出来ない。
皆好きでここに住んでいるわけじゃない。
他に行くところがないから仕方なく住んでいるだけだ。
それに富んだ土地には必ず先住がいる。
食うには困るが生きていけないわけじゃない。
食うには困るがそれ以上悪いこともない。
だから里はそこに在った。
そして絶えもせず栄えもせずそこに有り続けるだろう。
そう皆思っていた。

しかし、それは海の向こうから現れた。
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