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こちらはオリキャラRPGに関する特設ページです
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追記にプラタ話
長かったなぁこれ・・・結局4ケ月くらい寝かせてたよ・・・
なぜか頭が回復したとたんにスッとかけた謎
これから色々人化イベントに繋がっていくのかもしれません
彼がプランタンに持っている思いは恋とか愛とかそういうのもそうじゃないのも全部含めた依存
サイさんといい勝負?できる?

獣の願い


「それじゃあプラタ。いい子で待っててね。」
ランがそう言ってくっと背伸びをして首に手を回してきた。
いい匂いが体いっぱいに広がっておれは幸せな気分になる。
思わず甘えた声が出てかっこ悪いけど、ランは可愛いって言って声を出して笑ってくれた。
顔中舐め回したいけど仕事の前にはしちゃいけないことになっているから我慢する。
その分帰っててきたらいっぱいやってやろうと思う。
今日配達しなければならない小さいこの町は、モンスターへの警戒が強くておれは嫌われている。
別に町のやつらにどう思われても痛くも痒くもないけど、ランが悲しそうな顔をするからおれは町に入らないことになっていた。
ランはぎゅっとしてくれた後、手を振りながら町に入って見えなくなった。
町の入り口から子どもがこっちを見ている気がしたが無視をする。
お前なんかに興味無いし構ってやるのも面倒くさい。
おれは町の入り口に近い木の影に腰を降ろした。
町には入れないがもう長いこと配達は続けてるから襲われたりするようなことはない。
一度そんなことが起こりかけたが、殴られても切りつけられても抵抗しなかったらもうされなくなった。
よく解らないけど、郵便屋である間は普通の動物や人間と時間の取り方や体の構造が変わるらしい。
ランはずっと年をとってないしおれも殴られても切られても死ぬことはない。
噛み殺すのはよっぽど簡単なことだけどおれは郵便屋だからそれはしない。
ランが困るようなことはしたくないんだ。
一人きりで過ごすのは暇だし寂しくてつまらない。
早く帰って来ないかなと思いながら昼寝をしようと目を閉じた。


最近ランは変わった。
それはヒョロイ聖職者と夜小一時間話したときか、赤眉毛がランに「いつでもうちにきていいからね」と言ってからか、あの馬鹿騒ぎする船のせいか、おれには解らない。
でもランは変わった。
なんていうか、今までは笑ってても本当に笑ってないみたいな、どっかさみしいような感じだったのが、本当に心から笑ってるようになったと思う。
それはおれもすごく嬉しい。
ランが笑うと胸のとこがきゅんてなってあったかくなる。
今までより今の方がずっときゅんてなる。
でも、どっかでおれはそれは嫌だって思ってる。
だって、おれはずっとランと一緒にいたのにランのこと笑わせられてなかったってことだから。
おれはランのパートナーで、ランのこと誰よりも解ってると思ってたのに。
それがなんかすごく嫌だった。
おれはランがいたらそれだけで幸せになれるのに、ランはそうじゃないんだと思うと胸がちくちくした。
最近よく思うんだ。
ランに声をかけられたら。泣いてるときに抱きしめることが出来たら。
ランのこと、もっともっと笑顔に出来るのに。
聖職者よりも、赤眉毛よりも、狼女よりも、ずっとずっとおれはランを幸せに出来るのに。
「…おれが人間だったらな…。」
そう思わず口から出て、現実はそうでないことを思い知ってため息をついた。
視界に映るおれの手はけむくじゃらで人のそれとは似ても似つかないものだった。

「にゃに言ってるのにゃ卑屈犬。」
「わーーーーー!!!!!」
突然背後から声をかけられて心臓が飛び出すかと思うくらい驚いた。
空に遠吠えが響いてこだまする。
振り向くと巨大な白い毛の塊。
「なんでおまえがここにいるんだよ!!赤眉毛のうちからどんだけ離れてると思ってんだ!!」
「にゃひ。俺は俺の道を歩むのにゃ。距離とか些細なことは気にすんにゃ。」
「一応普通の猫として生きるんなら気にしろよバカ!!」
赤眉毛のところのでっかい化猫がそこにいた。
ランが赤眉毛と話している間おれは暇だからこいつとよく喋ってる。
最初はただのばかでかい猫だと思ってたが段々と本性を現すようになってきた。
性格が悪いって事と、おれと同じように普通の動物じゃないって両方の意味で。
「にゃにかにゃ?卑屈犬ってば人間になりたいのかにゃ??」
「そ…そんなこと言ってないだろ!」
「いんにゃ。堂々言ってたにゃ。多分何十人もの人間が確認済みにゃ。」
いやな奴にいやな事を聞かれたもんだ。
おれは今からランが帰ってくるまでの数時間これをネタにからかわれるのを覚悟した。
口封じのために牙を剥き出して喉にくらいつこうとしたけど、化猫は毛だらけの鈍そうな体に似合わない身のこなしでそれをよけた。
空中にひらりと白い塊が舞う。
「にゃひひひひ。暴力に訴えるうちは犬から脱出出来ないのにゃ。」
「うるさいばか!!狼だ!!」
しばらくドタバタと本気で殺意のあるじゃれあいをしたが、面倒くさくなってやめた。
これ以上やると人間が駆け付けそうな気もするし、こいつは首と胴体が離れてもおれのことを馬鹿にするのをやめないだろう。
「もう…いいよ。好きなだけからかえばいいだろ馬鹿化猫。そうだよ!おれは人間になりたいんだよ!」
化猫は猫のくせににちゃにちゃといやな笑いを浮かべおれを見る。殺したい。
「ランちゃんのためかにゃ?まぁお前の思考パターンなんてそんなもんにゃ。」
「悪いかよ。」
「誰も悪いなんて言ってにゃいのにゃ。結論急いで卑屈になるのはお前が馬鹿だからにゃ。」
そういって化猫はおれの鼻先にでかいケツを向けるようにどすんと傍に座り込んだ。
毛だらけの尻尾が鼻先を撫でて、くしゃみが出た。
不思議なんだけどこいつの臭いは生き物のものじゃない。
人間とも動物やモンスターともちょっと違う。
もっと植物とか、もっといえば高い山の空気に近い感覚がする。
うさぎのサーカスの奴らが一番近い感じはするがそれがどうしてなのかおれにはよく解らない。
「お前の尻なんて嗅ぎたくないんだよ。向こういけよ。」
「にゃんだよ照れちゃって。どうせランちゃんの尻はクンクンハァハァしてんのにゃ?」
「ランの尻はいい臭いがするんだよ。お前と一緒にするなよ馬鹿。」
猫の顔が何て言っていいのか解らないものになり、黙っておれの方に顔を向けて座りなおす。
「別に人間になる必要はどこにもにゃいにゃ?卑屈犬はそのままでもランちゃんのペットだにゃ。」
「おれは犬じゃないしランのペットでもない。…お前には解んないよ。」
「言わない考えは伝わることはにゃいのにゃ。まぁちっと俺に人生相談してみりゃいいにゃろ?犬の思春期でムラムラハァハァした思いを受けとめてやるのにゃ。」
「…ムラムラハァハァって何?」
化猫はよくおれに理解出来ない言葉を使う。
おれはもういっそ全部言ってやれという気分になっていた。
別に化け猫に聞かれたからと言ってどういうことはない。
あと、多分だけどこいつはおれの言ったことをランには言わないような気がしたんだ。




「ランと会う前のことはよく覚えてないんだ。じめじめした森の中で、ネズミとか食って独りで生きてた。親とか仲間とかはいなかったけどなんとか生きてたんだ。そんである日、ランと出会って、一緒に来ない?って言われたんだ。」
今でもそのときのことはしっかりと覚えている。
月の綺麗な夜だった。
まだ子どもだったおれはランの手の中にすっぽり収まった。
抱きしめられてそう言われたとき、身体中にいい匂いと幸せな気分が広がって泣きそうになった。
どうしてランがおれを選んだのか、なんで連れてってくれたのかは解らない。
おれは尋ねること出来ないしランも教えてくれたことはない。
それでもいい。そんなことは関係ない。
あのときから、おれの世界はランが全てなんだ。
「ランはおれにプラタって名前をくれて、赤い布くれて、郵便屋の仕事に連れてってくれるようになった。おれが大きくなって、ランを追い越してからもそれは変わってない。」
化猫はおれの話を無言で聞いている。
もしかしたら眠っているのかもしれないけどどうということはない。
「ランは頑張り屋やだけど泣き虫なんだ。嬉しいことがあっても、悲しいことがあってもすぐ泣くんだ。でもな、最近はずっと笑うことの方が多いんだ。今まで以上にずっと暖かく笑うんだ。」
胸がちくちくと痛くなった。
喉の奥に骨が刺さったみたいな、鈍くって嫌な痛みだ。
この気持ちがなんて言うのかおれにはよく解らない。
「ランが笑うと嬉しいんだ。今のランはすっごくいい匂いがして、前よりもずっと暖かいんだ。………でも、それはおれのせいじゃない。それが凄く嫌なんだ。 おれは誰よりも好きなのに。ランのこと幸せに出来るのに。そう思うとすごく嫌になったんだ。この体が。ランに話しかけられないことが。ランと同じ世界に生 きられないことが。……だから人間になりたいんだよ。」
「にゃるほどにゃわわわわふぅ。」
化猫はあくび交じりにようやくおれの話に相づちを打った。
ちゃんと聞いてたんだなとちょっとだけ見直した。
何を言うのかと思ったら化猫はどすどすと歩きおれの前に行き、おれの鼻に自分の鼻をつけてきた。
湿った生暖かいものが鼻先に当たり物凄く気持ち悪い。
いきなり何するんだよ、そう言おうとしたが化猫はそれより早く口を開いた。
「カッコつけてんじゃないにゃこの卑屈犬。」
化猫のガラス玉みたいな青い目がおれを見透かすように覗いてくる。
すっごくいやな感じがする。
心臓がどくどく早くなってきた。
「お前はアレだにゃ。ランちゃんに近づくもん全部に嫉妬してんのにゃろ?んでランちゃんのこと独り占めしたいのにゃ?だけどそれが犬の姿では叶わないから人間になりたいのにゃ。」
化猫は何事もないようにさらりと言うが、おれは自分でも思っていなかったようなことを言われてぎょっとした。
そしてその通りだと気づかされて顔が熱くなる。
ランを幸せにしたいなんてただの言い訳だ。
幸せでも不幸でも泣かせても怒らせてもなんだっていい。
ただ…おれは…
「………そうだよ。おれはランを独り占めしたいんだよ。世界中でおれのことだけ好きになってほしいんだよ…。」
ランが赤眉毛に頭を撫でられるのがいやだった。
見習い神父と話をするのがいやだった。
船のやつらと笑いあうのがいやだった。
おいてけぼりにされそうで、おれの知らないランになってしまいそうで、捨てられるんじゃないかと思って、すごく怖かった。
解ってる。ランは誰のものでもないし独り占めしたいなんて思い上がりだ。
それでもおれは、そう望まずにはいられない。
おれにはランしかいない。ランしかいらない。
ランにもそうであって欲しいなんて、思い上がった欲望だ。
口に出してしまうと、自分が思っていたよりもずっとわがままで子供でカッコ悪いと思い知らされる。
オレがこんなこと思ってるって知ったらランはどう思うだろうか。その前にこの化猫はどう思ったのだろうか。
「…頭悪いって思ってんだろ?」
化猫がおれのことを笑っているような気がして仕方なくて顔を上げられなかった。

「いんにゃ。俺はお前のそういうとこ結構気に入ってんにゃよ。」
意外な答えが返ってきておれは驚き顔をあげた。
化猫はいつものようにちゃにちゃ笑うとおれの鼻に口を着けた。
ぶちゅうううという嫌な音が耳の中に響く。
気持ち悪さで身体中の毛が音を立てて逆立った。
「うわーーーーっ!!やめろよ気持ち悪い!!」
「にゃひひひひサービスにゃ。嬉しくてたまんなくてムラムラハァハァするにゃろ?」
「すっげぇ気持ち悪いよ!!見ろよこれ毛が逆立ってんだろ!!」
「にゃひひひひこの気持ち良さが解らないなんてまだまだ子どもにゃ」
なんてことするんだこの変態馬鹿化猫め。
身体中の毛をべろべろと舐めてこの感覚を消そうとする。
「んにゃー。お前何してんのにゃ?」
「決まってんだろ!!化猫のせいで毛がこんなになったから毛繕いしてんだよ!!」
「そりゃ見れば解るのにゃ。俺がいいたいのはなんでお前は何もしてないのかってことなのにゃ。」
「は?何言ってんだよ変態痴漢馬鹿化猫。3回死ねよ」
言いたいことの意味が解らない。
こいつの言うことはいつもボンヤリとしていて形が見えにくい。
「にゃんでお前はそうやって人間なりたいって言ってんのにムラムラ思ってるだけで何も行動しようとしてないのにゃ?」
思わず動きが止まってしまった。
化猫の青い目がじっとおれを見つめてくる。
「人間になりたいならなればいいじゃにゃいか。木で出来た鼻長人形も人魚姫もみんな人間になれたのにゃ。お前だってさっさとなればいいのにゃ。」
化猫はさらりとそう言い自分の体を毛繕いし始めた。
『なりたいのならなればいい』その化猫の言葉が何度も頭の中でいったりきたりする。
おれは今まで考えたことがあっただろうか。
なりたいなりたいと願うばかりで、実際になれると思ったことは一度も無かったような気がする。
「…簡単に言うなよ。」
「簡単なことじゃにゃいか。」
「だって、方法だって解んないし、どうしていいか解んないし、そんな簡単な問題じゃないだろ?」
「方法ならいくらでも探せるにゃ。どうしたらいいか解んにゃいならまず動けにゃ。簡単にゃほほほ。」
化猫は耳障りにそう笑うとうえっと毛玉を吐き出した。

思っていてなんで方法を探したりしなかったのか。
方法を探すのは難しいことじゃない。
いくら狼で中途半端でもおれは郵便屋だ。
本気を出せばそれこそ3日とかからず方法なんて見つけられるだろう。
多分、おれは怖いんだ。
人間になったからってランがおれを受け入れるとは限らない。
拒絶されたらどうしよう。
人間になってそれでもランがおれを好きになってくれなかったらどうしよう。
そうやって考えると怖くて仕方なかった。
「おれはお前とは違うんだよ。」
絞りだすようにそう言うのがやっとだった。
なんでか解らないけどさっきから体が熱い。
頭が痛い。
考えるのが、怖かった。
化猫がおれを見透かすようにじっと見つめている。
「違う?そりゃ俺と卑屈犬は違うにゃ。俺は少なくともムラムラハァハァした思い抱えて何もしないなんてしないのにゃ。」
化猫ははぁと軽く息を吐き出すとおれから立ち去るように尻を向けた。
「人間だろうが狼だろうがお前にランちゃんを幸せにするのは無理にゃ。そんな頭ん中でうじうじ考えて卑屈になって何もしないで諦めてるガキが一緒に居るなんてランちゃんにとっても迷惑にゃ。」
そう吐き捨てるように言い、化猫はどすどすと歩き出した。
化猫の言葉が頭の中でぐわんぐわん響いている。
ランに迷惑だって?そうかもしれない。
おれは怖がってばかりで今まで何も出来てなかった。
ランを取られるのが怖くって、ランに受け入れられないのが怖くって、ずっとずっと動けなかった。
化猫の言うことは何も間違っていない。
おれは嫉妬深くて、ワガママで、臆病で、頭悪くって、狼だ。
それでも、おれは、





「か……勝手なことばっかり言ってんじゃねえよ!!!」
自分の中で何かが爆発した。
後ろから走って行って化猫の首元に力いっぱい噛み付いた。
口の中に広がる血の味、肉の感触。
そして綺麗な空気みたいな独特のこいつの臭い。
傷付けたかったわけじゃない。ムカついたから食いたかったわけでもない。
ただ、こいつに言ってやりたかった。
無理矢理にでもこっちに注意を向けて言ってやらなきゃ気がすまなかった。
化猫の耳元で大声で言葉をぶつける。
「あぁいいよ!なってやるよ人間に!!方法なんていくらでも探せるんだ!おれは郵便屋なんだよ!!時間だってたっぷりある!絶対に人間になってランを幸せにしてお前に二度とそんな口きけなくしてやるよ!!」
一息で全力で思いをぶつけ、呼吸がはぁはぁと荒くなる。
化猫はじっとおれの言葉を聞いた後、いつものにちゃにちゃとした笑いを浮かべながら言った。
「そうしれよ。卑屈犬。」
体中からすっと力が抜けた。なんでか解らないけど涙がぼろぼろと零れてきた。
おかしいな。悲しくも、痛くも、なんともないのに。
化猫は計算づくだったのだろうか。おれがこう言うことが。
噛み付かれることも解ったうえで、おれにこう言わせるために、決意させるために言ったのだろうか。
…そんなことない。そんなの買いかぶりだ。
化猫がそんなこと考えてるわけなんかないだろ。
でも、化猫はおれがそう言った後、すごく満足そうに笑っていて無性に腹が立った。
「……人間になったら…捕まえてっ・・・お前のその毛全部丸刈りにしてやるからな・・・。」
腹いせにそういうと化猫はまた笑っておれに体をすり寄せてきた。
存在全てがムカつくけど、こいつの臭いだけは嫌いじゃなかった。
それはランと出会ったときに感じた臭いに、ほんの少しだけ似ていたんだ。
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