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こちらはオリキャラRPGに関する特設ページです
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西の空は透明感のある群青から次第に濃紺、そして黒へと移っていく。
職務を終えた人々は仕事場を後にし、愛しいものの待つ家へと足を早める。
世界中のどこでも見られる光景。そしてここアドニアでもそれは変わらない。
王宮から少し離れた商業街は、そんな公の場を離れ、自分の時間をこれから楽しもうとする人々で賑わっていた。
仲間と酒場に繰り出そうとする屈強な男達や、服を選ぶ女性、子供に土産を買う父親など様々な姿が視界の端々に入ってくる。
ジズはそんな人々を眺めながら街を悠々と歩いていた。
彼もまた、自分の役目を終えこれから自分の時を楽しむ人間の一人であった。

ジズは奥まった路地にある酒場に足を踏み入れた。
古い木製のドアがきしみを上げ、ゆっくりと開く。
中からは汗と酒の混じった上品とはとても言い難い香りが漂うがそれも悪くない。
店主の口先だけの歓迎の言葉、古ぼけた店の内装と暗い室内。
看板は申し訳程度にしかついていないごく小さな店だが、ジズは気に入ってよく利用している。
値段は手頃とは言い難いが、アルナ産の良い果実酒が豊富でつまみも美味い。
普段はクラスペダにあるカイムの店を利用するのだが、誰にも邪魔されずにひっそりと酒を楽しみたいときにはここに来る。
おそらくヒルト王もこの小さな店の存在は知らないのではないだろうか。
ジズはここに来るたび、自分だけの秘密を楽しむ子供のような気分になり苦笑するのだった。

最も壁よりのカウンター席が彼の定位置である。
いつものようにそこに座ろうと視線を送る。
しかしそこには先約が居た。
夕陽のように赤く長い髪を編み垂らしている。
酒場には不釣り合いにその背中はしゃんと伸び、今まさに職務に従事する役人のようであった。
「…私だけの秘密だと思っていたのだがな。」
ジズはそう呟き、見ためよりもずっと華奢な肩を叩いた。
振り返った顔は、心待ちにしていたという笑顔からみるみるうちに苦虫を噛み潰したような顔へと変化した。
解りやすい人だとジズは苦笑する。
「やぁ。リーザ・アンデリセン。こんなところで会うとは奇遇だな。」
「ジズか…何しに来た?」
「貴女は面白い人だ。酒場に来る理由は一つだろう?」
そう言いジズは彼女の手元に目を移した。
そこにはナッツを軽く煎ったものを入れた皿、そして水の入ったグラスが置かれている。
「…普通ならばな。」
ジズがそう呟くとリーザは視線をそらした。
「うるさい。私は遊びに来ているわけではないんだ。」
「私は酒を飲み遊ぶために来ているのだがな。」
そう言いジズはリーザの隣の空席に腰を降ろす。
リーザはじろりと不快そうな視線を投げ掛けた。
「おい、何をしている。」
「一人酒をする気分では無くなった。折角だから付き合ってくれ。」
そう言いジズは二杯の酒の名前を店主に告げる。
「おい、余計なことをするな。私は、」
「仕事であるなら尚更何か飲むべきだ。何も飲まないと注意が向く。…と言ったら貴女は飲む気になるだろうか?」
リーザは何か言い淀んでいたが、諦めたように一杯だけだと呟いた。


続くか不明
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